建物を直すだけではなく、
旅館の次の時代をつくりたい。
私は今年(2026年)で、旅館改修に関わって28年目になります。
ただ、最初から「将来は旅館専門の建築士になろう」と考えていたわけではありません。
数多くの旅館の現場に入り、女将さん、支配人さん、仲居さん、そして旅館オーナーの方々と仕事をする中で、私は次第に旅館という仕事そのものに惹かれるようになりました。
なぜ住宅や店舗ではなく、旅館なのか。なぜホテルではなく、旅館なのか。そして、なぜ新築ではなく、旅館の「改修」なのか。
ここでは、ATELIER15が旅館改修を専門にしている理由についてお話しします。
「動画でお話ししています|なぜ旅館改修を専門にしているのか?」
旅館との出会いは
28歳頃でした
私が初めて旅館に泊まったのは、中学校の修学旅行でした。私の家は、家族旅行といっても日帰りがほとんどで、子どもの頃に旅館へ泊まる機会はほとんどありませんでした。
その頃はまさか自分が将来、旅館の仕事を専門にするとは思ってもいませんでした。その後、建築の道に進み、最初は東京の設計事務所で働きました。そして次に勤めた設計事務所で、初めて旅館改修の仕事に関わるようになりました。確か28歳くらいだったと思います。
当時は突貫工事の現場も多く、私自身、いくつもの旅館に何か月も泊まり込みながら仕事をしました。
朝起きても旅館。
仕事をしていても旅館。
夜になっても旅館。
そんな生活をしていると、お客様として泊まっただけでは分からない「旅館の内側」が少しずつ見えてきます。
その設計事務所では約10年間、旅館改修を中心に仕事をしました。その後独立し、現在まで旅館改修に携わっています。気がつけば、28年になりました。
建物だけを見ていても、本当の旅館は分からない
旅館の仕事を始めた頃、私が印象に残ったことの一つが「女将さん」という存在でした。もちろん、女将さんという言葉自体は知っていました。しかし、旅館の中で女将さんがどれほど大きな役割を担っているのかを知ったのは、実際に旅館の仕事をするようになってからです。
女将さんが、お客様のこと、料理のこと、客室のこと、従業員のこと、そして旅館全体のことをどれほど考えているのか。
支配人さんが、日々どれほど多くのことを調整しているのか。
そして実際にお客様と接している仲居さんの意見が、旅館づくりにどれほど大切なのか。
旅館の現場に長く関わる中で、少しずつ分かってきました。私は建築士ですから、当然、建物を見ます。
しかし旅館の場合は、建物だけを見ていても、本当の旅館は分からない。そう感じています。
そこで働く人がいて、お客様を迎える人がいて、初めて旅館になります。だから私は、旅館を改修するときも、建物だけではなく、そこで働く人たちのことまで考えることを大切にしています。
なぜ住宅や店舗ではなく
「旅館」なのか?
住宅、店舗、工場、事務所など、建築にはさまざまな用途があります。
その中で、なぜ私は旅館にこれほど魅力を感じるのか。
改めて考えてみると、旅館という建物には、さまざまな建築の要素が一つの中に入っています。
客室には、住宅のようにくつろぐための空間があります。
玄関やロビーには、店舗のように「ここに来て良かった」と感じてもらうための第一印象があります。
食事処では料理を楽しんでもらう。
大浴場では温泉を楽しんでもらう。
庭を眺め、その土地ならではの景色を楽しんでもらう。
そして、長く続いてきた旅館には、建物そのものにその土地の歴史や日本の文化が残っていることもあります。
旅館は、
住宅でもあり、
店舗でもあり、
飲食店でもあり、
温泉施設でもあります。
それらが一つの建物の中でつながり、一つの宿泊体験をつくっています。
そして最終的には、そこで過ごした時間そのものが、お客様の旅の記憶になる。私は、そこに旅館建築ならではの大きな魅力を感じています。
ホテルではなく
なぜ旅館なのか?
ホテルにも、もちろん大きな魅力があります。
ホテルにはブランドがあり、建物や空間そのものに強い魅力を持った施設もたくさんあります。
しかし旅館には、それとは少し違った魅力があると思っています。
それは、「誰に迎えてもらったか」が、旅の記憶に残ることです。「あの旅館、良かったね」というだけではなく、「あの女将さん、良かったね」「あの仲居さんに、よくしてもらったね」という話になることがあります。
つまり旅館は、建物だけではありません。そこで働いている「人」そのものが、宿の魅力になります。
私は、建物だけを新しく、きれいにつくりたいわけではありません。そこで宿を営んでいる人の想いや、お客様を迎えてきた文化まで含めて大切にしたいと考えています。
私はよく、
「ホテルにはブランドがあり、
旅館には主人公がいる」
そんなふうに考えています。
それが、
私がホテルではなく
旅館に惹かれる理由の一つです。
家族経営の旅館に
惹かれる理由
私は特に、家族で経営されている旅館に魅力を感じます。それは旅館という「建物」だけに魅力を感じているからではありません。その旅館を家族で守ってきた人たち。
そして、「これからも次の世代へ残していきたい」と考えている人たちに惹かれるのだと思います。旅館オーナーと話をしていると、「父の代から続いているこの宿を残したい」「自分の代で終わらせたくない」という話を伺うことがあります。
一方で、「このままの旅館で、本当に将来大丈夫だろうか」という不安もあります。そして、「できれば子どもの世代にも、つないでいける旅館にしたい」という想いもあります。私は、そういう話を伺うと、その旅館の次の時代を、一緒につくりたい。と思います。
親から受け継いだ旅館を、そのまま残すだけではなく、今のお客様にも選んでもらえる宿へ変えていく。そして、次の世代にもつないでいける旅館にしていく。私は、そういう旅館の仕事に大きな魅力を感じています。
なぜ新築ではなく
「改修」なのか?
私は、旅館をゼロから新しくつくることよりも、そこにすでにあるものを、どう生かすか。ということを考える仕事に魅力を感じています。
長い間使われてきた柱や梁。
玄関。客室。庭。
その旅館ならではの佇まい。
そこには、新しい建物にはない時間の積み重ねがあります。そして何より、そこで旅館を営んできた家族の歴史があります。
ですから私は、「古いから全部壊して、新しくしてしまえばいい」とは考えていません。「これは、この旅館らしさだから残したいですね」というものもあります。
反対に、「ここは今のお客様に合わせて変えた方がいいですね」というものもあります。大切なのは、何を残し、何を変えるのか。だと思っています。
旅館の良さをすべて新しいものに置き換えるのではなく、その旅館らしさを残しながら、今のお客様に選んでもらえる宿へ変えていく。その境目を旅館オーナーと一緒に考えていくことに、旅館改修ならではの面白さがあります。
旅館改修は
次の世代へつなぐ仕事
これまで私は、たくさんの旅館の現場を見てきました。そして、そこで働くたくさんの人たちも見てきました。その経験を生かしながら、これからも旅館の次の時代を、オーナーと一緒につくっていきたいと考えています。
私は、旅館改修という仕事は、単に古い建物を新しくする仕事ではないと思っています。建物だけではなく、宿を営む人の想い。その土地の歴史。長い年月をかけて育まれてきた宿の個性。そして、そこに残っている日本の文化。
そうしたものを大切にしながら、次の世代へつないでいく仕事。それが、私の考える旅館改修です。
だから私は、旅館の改修を専門にしています。
旅館のこれからを
一緒に考えませんか
旅館改修を考えるとき、最初から具体的な改修内容が決まっている必要はありません。
「どこから手を付ければいいのか分からない」
「今の旅館の何を残し、何を変えればいいのか迷っている」
「親から受け継いだ旅館を、これからの時代に合った宿にしたい」
そんな段階からでも構いません。旅館をどう改修するかを考える前に、これから、どんな旅館にしていきたいのか。まずはそこから、一緒に考えていきたいと思っています。
旅館改修についてお悩みのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
建物を直すだけではなく、旅館の次の時代をつくりたい。
私は今年(2026年)で、旅館改修に関わって28年目になります。
ただ、最初から「将来は旅館専門の建築士になろう」と考えていたわけではありません。
数多くの旅館の現場に入り、女将さん、支配人さん、仲居さん、
そして旅館オーナーの方々と仕事をする中で、
私は次第に旅館という仕事そのものに惹かれるようになりました。
なぜ住宅や店舗ではなく、旅館なのか。
なぜホテルではなく、旅館なのか。
そして、なぜ新築ではなく、旅館の「改修」なのか。
ここでは、ATELIER15が旅館改修を専門にしている理由についてお話しします。
「動画でお話ししています|なぜ旅館改修を専門にしているのか?」
旅館との出会いは、28歳頃でした
私が初めて旅館に泊まったのは、中学校の修学旅行でした。
私の家は、家族旅行といっても日帰りがほとんどで、
子どもの頃に旅館へ泊まる機会はほとんどありませんでした。
ですから、
その頃はまさか自分が将来、旅館の仕事を専門にするとは思ってもいませんでした。
その後、建築の道に進み、最初は東京の設計事務所で働きました。
そして次に勤めた設計事務所で、初めて旅館改修の仕事に関わるようになりました。
確か28歳くらいだったと思います。
当時は突貫工事の現場も多く、私自身、
いくつもの旅館に何か月も泊まり込みながら仕事をしました。
朝起きても旅館。
仕事をしていても旅館。
夜になっても旅館。
そんな生活をしていると、お客様として泊まっただけでは分からない
「旅館の内側」が少しずつ見えてきます。
その設計事務所では約10年間、旅館改修を中心に仕事をしました。
その後独立し、現在まで旅館改修に携わっています。
気がつけば、28年になりました。
建物だけを見ていても、本当の旅館は分からない
旅館の仕事を始めた頃、私が印象に残ったことの一つが「女将さん」という存在でした。
もちろん、女将さんという言葉自体は知っていました。
しかし、旅館の中で女将さんがどれほど大きな役割を担っているのかを知ったのは、
実際に旅館の仕事をするようになってからです。
女将さんが、お客様のこと、料理のこと、客室のこと、従業員のこと、
そして旅館全体のことをどれほど考えているのか。
支配人さんが、日々どれほど多くのことを調整しているのか。
そして実際にお客様と接している仲居さんの意見が、旅館づくりにどれほど大切なのか。
旅館の現場に長く関わる中で、少しずつ分かってきました。
私は建築士ですから、当然、建物を見ます。
しかし旅館の場合は、
建物だけを見ていても、本当の旅館は分からない。
そう感じています。
そこで働く人がいて、お客様を迎える人がいて、初めて旅館になります。
だから私は、旅館を改修するときも、建物だけではなく、
そこで働く人たちのことまで考えることを大切にしています。
なぜ住宅や店舗ではなく「旅館」なのか?
住宅、店舗、工場、事務所など、建築にはさまざまな用途があります。
その中で、なぜ私は旅館にこれほど魅力を感じるのか。
改めて考えてみると、旅館という建物には、
さまざまな建築の要素が一つの中に入っています。
客室には、住宅のようにくつろぐための空間があります。
玄関やロビーには、店舗のように「ここに来て良かった」
と感じてもらうための第一印象があります。
食事処では料理を楽しんでもらう。
大浴場では温泉を楽しんでもらう。
庭を眺め、その土地ならではの景色を楽しんでもらう。
そして、長く続いてきた旅館には、
建物そのものにその土地の歴史や日本の文化が残っていることもあります。
旅館は、
住宅でもあり、
店舗でもあり、
飲食店でもあり、
温泉施設でもあります。
それらが一つの建物の中でつながり、一つの宿泊体験をつくっています。
そして最終的には、
そこで過ごした時間そのものが、お客様の旅の記憶になる。
私は、そこに旅館建築ならではの大きな魅力を感じています。
ホテルではなく、なぜ旅館なのか?
ホテルにも、もちろん大きな魅力があります。
ホテルにはブランドがあり、
建物や空間そのものに強い魅力を持った施設もたくさんあります。
しかし旅館には、
それとは少し違った魅力があると思っています。
それは、
「誰に迎えてもらったか」が、旅の記憶に残ることです。
「あの旅館、良かったね」
というだけではなく、
「あの女将さん、良かったね」
「あの仲居さんに、よくしてもらったね」
という話になることがあります。
つまり旅館は、建物だけではありません。
そこで働いている「人」そのものが、宿の魅力になります。
私は、建物だけを新しく、きれいにつくりたいわけではありません。
そこで宿を営んでいる人の想いや、
お客様を迎えてきた文化まで含めて大切にしたいと考えています。
私はよく、
「ホテルにはブランドがあり、旅館には主人公がいる」
そんなふうに考えています。
それが、私がホテルではなく旅館に惹かれる理由の一つです。
家族経営の旅館に惹かれる理由
私は特に、家族で経営されている旅館に魅力を感じます。
それは旅館という「建物」だけに魅力を感じているからではありません。
その旅館を家族で守ってきた人たち。
そして、
「これからも次の世代へ残していきたい」
と考えている人たちに惹かれるのだと思います。
旅館オーナーと話をしていると、
「父の代から続いているこの宿を残したい」
「自分の代で終わらせたくない」
という話を伺うことがあります。
一方で、
「このままの旅館で、本当に将来大丈夫だろうか」
という不安もあります。
そして、
「できれば子どもの世代にも、つないでいける旅館にしたい」
という想いもあります。
私は、そういう話を伺うと、
その旅館の次の時代を、一緒につくりたい。
と思います。
親から受け継いだ旅館を、そのまま残すだけではなく、
今のお客様にも選んでもらえる宿へ変えていく。
そして、次の世代にもつないでいける旅館にしていく。
私は、そういう旅館の仕事に大きな魅力を感じています。
なぜ新築ではなく「改修」なのか?
私は、旅館をゼロから新しくつくることよりも、
そこにすでにあるものを、どう生かすか。
ということを考える仕事に魅力を感じています。
長い間使われてきた柱や梁。
玄関。
客室。
庭。
その旅館ならではの佇まい。
そこには、新しい建物にはない時間の積み重ねがあります。
そして何より、そこで旅館を営んできた家族の歴史があります。
ですから私は、
「古いから全部壊して、新しくしてしまえばいい」
とは考えていません。
「これは、この旅館らしさだから残したいですね」
というものもあります。
反対に、
「ここは今のお客様に合わせて変えた方がいいですね」
というものもあります。
大切なのは、
何を残し、何を変えるのか。
だと思っています。
旅館の良さをすべて新しいものに置き換えるのではなく、
その旅館らしさを残しながら、今のお客様に選んでもらえる宿へ変えていく。
その境目を旅館オーナーと一緒に考えていくことに、
旅館改修ならではの面白さがあります。
旅館改修は、次の世代へつなぐ仕事
これまで私は、たくさんの旅館の現場を見てきました。
そして、そこで働くたくさんの人たちも見てきました。
その経験を生かしながら、これからも旅館の次の時代を、
オーナーと一緒につくっていきたいと考えています。
私は、
旅館改修という仕事は、単に古い建物を新しくする仕事ではない
と思っています。
建物だけではなく、
宿を営む人の想い。
その土地の歴史。
長い年月をかけて育まれてきた宿の個性。
そして、そこに残っている日本の文化。
そうしたものを大切にしながら、
次の世代へつないでいく仕事。
それが、私の考える旅館改修です。
だから私は、旅館の改修を専門にしています。